平成21年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午前II 問2
【問題2】
プロジェクトの進捗管理をEVM(Earned Value Management)で行っている。コストが超過せず、納期にも遅れないと予測されるプロジェクトの状況を表しているのはどれか。ここで、それぞれのプロジェクトの今後の開発生産性は今までと変わらないものとする。
【解説】
EVM(Earned Value Management)は、プロジェクトの進捗とコストパフォーマンスを定量的に評価する手法です。主な指標は以下の通りです:
- PV(Planned Value):計画された作業の予算(計画値)
- EV(Earned Value):実際に完了した作業の予算(出来高)
- AC(Actual Cost):実際に発生したコスト
これらの指標を用いて、以下の差異を計算します:
- コスト差異(CV):EV – AC(正の値はコストが予算内)
- スケジュール差異(SV):EV – PV(正の値は進捗が計画以上)
各選択肢を分析します:
ア:実コスト(AC)がアーンドバリュー(EV)を上回り、アーンドバリュー(EV)がプランドバリュー(PV)を上回る。
分析:AC > EV → CVが負(コスト超過)、EV > PV → SVが正(進捗が計画以上)
結論:コスト超過の可能性があるため、不適切。
イ:実コスト(AC)がアーンドバリュー(EV)を上回り、アーンドバリュー(EV)がプランドバリュー(PV)を下回る。
分析:AC > EV → CVが負(コスト超過)、PV > EV → SVが負(進捗遅延)
結論:コスト超過と進捗遅延の可能性があるため、不適切。
ウ:実コスト(AC)がアーンドバリュー(EV)を下回り、アーンドバリュー(EV)がプランドバリュー(PV)を上回る。
分析:AC < EV → CVが正(コストが予算内)、EV > PV → SVが正(進捗が計画以上)
結論:コストも納期も問題ないと予測されるため、適切。
エ:実コスト(AC)がアーンドバリュー(EV)を下回り、アーンドバリュー(EV)がプランドバリュー(PV)を下回る。
分析:AC < EV → CVが正(コストが予算内)、PV > EV → SVが負(進捗遅延)
結論:進捗遅延の可能性があるため、不適切。
出典:平成21年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前II 問2