平成22年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午前II 問16
【問題16】
論理データモデル作成におけるトップダウンアプローチ,ボトムアップアプローチに関する記述として,適切なものはどれか。
トップダウンアプローチでは,新規システムの利用者要求だけに基づいて論理データモデルを作成するので,現状業務の分析は行えない。
トップダウンアプローチでもボトムアップアプローチでも,最終的な論理データモデルは正規化され,かつ,業務上の属性はすべて備えていなければならない。
トップダウンアプローチでもボトムアップアプローチでも,利用者が使用する現状の画面や帳票を素材として分析を行うのは同じである。
ボトムアップアプローチは現状業務の分析に用いるものであり,新規システムの設計ではトップダウンアプローチを使用する。
【解説】
トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチは、新しいシステムやプロジェクトの要求や目標を大枠から詳細に分解していく方法です。このアプローチでは、まず全体的なビジネス目標や利用者要求を明確化し、それをもとに業務プロセスやデータモデルを設計します。
特徴:
– システムの全体像や戦略を重視します。
– 利用者の要求や期待に基づいてモデルを構築します。
– 柔軟性が高く、長期的な目標に適しています。
ボトムアップアプローチ
ボトムアップアプローチは、現状の業務やシステムに基づき、データやプロセスを分析してモデルを構築する方法です。このアプローチでは、現状の帳票や画面などの具体的な資料を基にして、データ構造やプロセスを積み上げていきます。
特徴:
– 現場の実務や既存システムを重視します。
– 現状に即した現実的なモデルを構築できます。
– 新しい全体像の構築には適さない場合があります。
ア: トップダウンアプローチでは,新規システムの利用者要求だけに基づいて論理データモデルを作成するので,現状業務の分析は行えない。
誤り。トップダウンアプローチでも、現状業務の分析が補助的に行われることがあります。
イ: トップダウンアプローチでもボトムアップアプローチでも,最終的な論理データモデルは正規化され,かつ,業務上の属性はすべて備えていなければならない。
正しい。どちらのアプローチでも、論理データモデルは正規化され、必要な業務属性をすべて含める必要があります。
ウ: トップダウンアプローチでもボトムアップアプローチでも,利用者が使用する現状の画面や帳票を素材として分析を行うのは同じである。
誤り。ボトムアップアプローチでは現状の画面や帳票を重視しますが、トップダウンアプローチではそれよりも全体的な構造や要求を重視します。
エ: ボトムアップアプローチは現状業務の分析に用いるものであり,新規システムの設計ではトップダウンアプローチを使用する。
誤り。ボトムアップアプローチは現状業務の分析が主ですが、新規システムの設計にも利用される場合があります。
【答え】
イ: トップダウンアプローチでもボトムアップアプローチでも,最終的な論理データモデルは正規化され,かつ,業務上の属性はすべて備えていなければならない。
出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前II 問16