平成21年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午前II 問21
【問題21】
情報システムの全体計画立案のために E-R モデルを用いて全社のデータモデルを作成する手順はどれか。
管理層の業務から機能を抽出し,機能をエンティティとする。次に,機能の相互関係に基づいてリレーションシップを定義する。さらに,全社の帳票類を調査,整理し,正規化された項目に基づいて属性を定義し,全社のデータモデルとする。
企業の全体像を把握するため,基本的なエンティティだけを抽出し,それらの相互間のリレーションシップを含めて,鳥瞰図を作成する。次に,エンティティを詳細化し,すべてのリレーションシップを明確にしたものを全社のデータモデルとする。
業務層の現状システムを分析し,エンティティとリレーションシップを抽出する。それぞれについて適切な属性を定め,これらを基に E-R 図を作成し,それを抽象化して,全社のデータモデルを作成する。
全社のデータとその処理過程を分析し,重要な処理を行っている業務を基本エンティティとする。次に,基本エンティティ相互のデータの流れをリレーションシップとしてとらえ,適切な識別名を与える。さらに,基本エンティティと関係あるデータを属性とし,全社のデータモデルを作成する。
【解説】
ア: 管理層の業務から機能を抽出し,機能をエンティティとする。次に,機能の相互関係に基づいてリレーションシップを定義する。さらに,全社の帳票類を調査,整理し,正規化された項目に基づいて属性を定義し,全社のデータモデルとする。
誤り。管理層の視点だけでは全社の包括的なデータモデルを作成するのに不十分です。また,リレーションシップの定義や属性の正規化も業務層との整合性が取れない可能性があります。
イ: 企業の全体像を把握するため,基本的なエンティティだけを抽出し,それらの相互間のリレーションシップを含めて,鳥瞰図を作成する。次に,エンティティを詳細化し,すべてのリレーションシップを明確にしたものを全社のデータモデルとする。
正しい。全体像を把握し,基本的なエンティティ間の関係性を明確にした上で詳細化するプロセスは,E-R モデルを全社規模で活用する際の適切な手順です。
ウ: 業務層の現状システムを分析し,エンティティとリレーションシップを抽出する。それぞれについて適切な属性を定め,これらを基に E-R 図を作成し,それを抽象化して,全社のデータモデルを作成する。
誤り。現状システムを分析するだけでは,新しいデータモデルの構築に必要な将来的な業務要件が考慮されない場合があります。
エ: 全社のデータとその処理過程を分析し,重要な処理を行っている業務を基本エンティティとする。次に,基本エンティティ相互のデータの流れをリレーションシップとしてとらえ,適切な識別名を与える。さらに,基本エンティティと関係あるデータを属性とし,全社のデータモデルを作成する。
誤り。処理過程に基づくアプローチはデータモデルの一部しか反映できない可能性があり,E-R モデルの基本原則から逸れます。
【答え】
イ: 企業の全体像を把握するため,基本的なエンティティだけを抽出し,それらの相互間のリレーションシップを含めて,鳥瞰図を作成する。次に,エンティティを詳細化し,すべてのリレーションシップを明確にしたものを全社のデータモデルとする。
出典:平成21年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前II 問21